イベント人工衛星「まいど1号」、町工場の「夢」を乗せた宇宙の旅
![]() 福岡市のD2K(デジタル大名2000)が主催する「ITビジネスセミナー」で、人工衛星「まいど1号」打上げ成功の立役者の一人である東大阪宇宙開発協同組合(SOHLA)監事 竹内 修 氏が講演。この人工衛星の開発秘話と次なる夢を語った。 ![]() 東大阪市といえば、福岡市の約5分の1の面積に50万人を超える人々が暮らす大阪第3の都市、面積に対する工場の割合では全国1位で、日本有数の高い技術を持った中小企業の密集地である。 2002年、不況に苦しむ東大阪を活気付け、若い世代へモノづくりを継承したいという夢から始まった衛星打ち上げ計画。 竹内氏は、「この計画で『東大阪に人が集まってくるコアを作ろう。わずかなコアで若い優秀な技術者たちが集まってくれば、東大阪がアメリカのシリコンバ レーのようになる。古くからこの地にいる町工場の人々はその若い人たちに技術を伝承し、大家になって工場を貸せばいい』という東大阪の経済復興が目的だっ た。」という。 もともとモノづくりには優れた技術を有し、人工衛星といえどもパーツをつくることはお手のものの組合のメンバーだが、「人工衛星の開発に苦労したのは衛星全体の設計図づくりだった」ようだ。 こうして、紆余曲折がありながらも人工衛星「まいど1号」は2008年に完成。 JXSAの協力でH2Aロケットに搭載され、2009年1月打上げ成功し、打上げから約10ヶ月後、初期のミッションを終えた。今でも軌道上を旋回しており通信可能な状態だという。 竹内氏によれば、人工衛星「まいど1号」の打上げ成功により、一部の組合企業で関連装置の新規受注があったものの、まだまだ東大阪の経済復興の目的には程遠い。SOHLAの次なる「夢」は、2足歩行ロボットで月に降り立つことらしい。 ![]() 竹内氏は、「夢とホラは違う。夢に向かって何も努力しなければ『ホラ』になるが、夢に向かって努力していけば『夢』なのだ。人生、結果ではなくプロセスが大事、そこに生きている実感がある」という。 いつの日か、東大阪の「夢」を乗せたロボットが月に降り立つ日が来るかもしれない。 ただ、「そのロボットを月まで乗せて行ってくれるロケットが見つかっていない」ようだ。 70歳になる竹内修氏が健在なうちに「浪速のオッサンたちの夢」が叶うことを願っている。 【S-Sato】 ![]() | |